HICPMメールマガジン第816号(2018.12.26)
みなさんこんにちは
今年は私にとって健康問題を含め予想外の一年でした。ボウクス社の内海さんからのご支援を得て、HICPMはその業務を継続することができありがたく思っています。その上、HICPM会員の皆さまのご支援もあり、私の健康回復を大地にしたHICPMの活動を続けることができ、作人に引き続き『欧米の建築家、日本の建築士』(井上書院)を刊行することができました。同書で取り上げた改めて欧米の近世・近代の建築設計の原点ともいうべきアンドレアパラディオの『建築四書』を復習するため、北イタリー)ヴィチェンツア、パドバ、ベネチア)に建築旅行をしました。それを最近ゲーテの『北イタリア紀行』をきっかけに日本人でゲーテの旅行記を留学しながら調査研究した2人の建築歴史研究者の本を2冊読みました。いずれそのt歩期のお話を皆様にも聞いてもらいたいと思っていますが、ルネサンスの面白さは「セゴドン」の明治維新の裏に隠された面白さでもあると思います。
今年度最後のメールマガジンになります。それを前に私にとって驚くべきニュースは、世界の本当の指導者と偽の指導者にお言葉が地球を駆け巡ったことです。今回扱う4つの話は、第1は、北方4島返還を世界に解かり易く説明したロシアの大統領の説明。第2は、米国の大統領と対等にその政治手法を批判した国防長官の説得力を持った辞任会見。第3は、世界第2の自動車産業をつくりあげた経営者のジギルとハイドの2面性。第4は、わが国の「能吏」を恐怖人事と庇護の両面人事作戦で養成し、隷属させ、自発的に安倍晋三の私益を拡大させている「ヒットラー」を連想させる安倍晋三の政治である。
第1話:ロシア・プーチン大統領の言葉の要旨の解説
ロシアの国民に向けてのプーチン大統領の「日本の北方領土4島返還」に対する考え方:
日本国は戦後の吉田内閣以来、現在の安倍内閣まで、日本国憲法に違反して国家経営をしていろ。その実態は米国と締結した日米安全保障条約と日米地位協定の通り、日本は米軍の兵站基地であり続けている。現在の辺野古への米軍基地の移転問題も、「戦争の放棄」を定めた日本国憲法を根拠にすれば、米軍の極東戦略拠点の軍事基地を作ることはできない。それが出来ている理由、又はそれを強引に推し進めている安倍晋三内閣が、日米安全保障条約の中の米軍に従属した政策を実施しているためである。北方4島を日本に返還すれば、そこは日本国の一部として自動的に、米軍の兵站基地になることになる。そこに米軍にロシア向け戦略基地を作るようになることは、米軍の極東戦略として当然の結果である。そのような明々白々な結果が見えていて、ロシアの喉元にミサイルを突きつける脅威となる米軍の軍事基地を建設することが明らかな土地を日本に返還するほどお人好なロシア人はいない。
安倍晋三はその赤子でもわかる事実を知らないで、北方4島返還の交渉をしている訳ではない。日米の従属関係を対等互恵にできないでいて、対ロ交渉に臨んでいる安倍晋三の政治姿勢は、「加計・森友事件」同様、誰も信じることのない説明を北方4島の返還に関しても、安倍晋三は日ロ双方の国民向けには、「誠実に・丁寧に時間を掛けて説明している」と言っているだけである。自らの閣僚や自民党役員で、その地位を失う危険を冒してまで、安倍晋三の「騙しの説明」を暴露する人も、反対する人もいない。無智蒙昧な余程の馬鹿でない限り、安倍晋三の説明を信じるバカは、少なくともロシアにはいない。しかし、日本人の中には目先の地位保全や利益のために安倍晋三の説明に納得したふりをする国民はいる。それは「加計・森友事件」に表されているとおり、頭脳が明晰とされている東京大学卒業した官僚が安倍内閣の説明に納得している態度を示していることで、日本人の教養の程度が分かる。そのように姑息な個人的利益のために国家を裏切る官僚が現代の日本人の代表のようだ。昔の日本人にはそのような人はいなく、安倍晋三のよう不誠実に国民を愚弄する政治家は日ロ交渉にはいなかった。
第2話:マチス国防長官の退任
トランプ大統領の国防政策は、国際関係を基本的に蹂躙し、目先の「アメリカ・ファースト」政策をトランプ大統領を含む一部の関係者のために強引に推し進めようとするもので、米国の国防長官としてトランプ大統領の下で国家のための国防をすることは、トランプ大統領が私の意見に耳を傾けてくれない限り、国民の信頼に応える立場で私が国防長官の職責を継続することは出来ない。
トランプ大統領はその人事権を行使すれば、自由に国防長官を選ぶことが出来るので、自分の権限で米国民の利益を守ることが出来ると判断するのならば、そのような人間を国防長官に選任すればよい。私の考えると同じ米国民のための国防政策を採る意思が大統領にないのならば、私を国防長官の責に止め、私の考えるアメリカの国防政策を大統領が行なっているように国民を欺く政策をしないほうが良い。国民を欺く政策は、米国大統領の品格を汚すものである。私は国防長官の地位にあることは、結果的にトランプ大統領に国民を欺くことをやらせることになる。そのことは私にはできない。そこで、私は国防大臣を辞任し、誰をも欺かないアメリカの政治を行なえるようにしたい。
マチス国防長官の説明は民主主義国家の政治家として筋が通っているだけではなく、その「分を弁え」て、誰もその行動に対し批判の余地を与えることが出来ない対応をした。その理屈の通った潔さに本当の秀才軍人を見る思いをした。アメリカのスタンフォード大学のフーバー研究所で研究院のとき、トランプ大統領から「三顧の礼」により国防長官に迎えられた米国版「諸葛孔明」である。トランプ大統領の行動に対し批判の余地を与えない国防政策をしたことで、本当の秀才軍人を見る思いをした。
第3話:「守銭奴」、カルロスゴーン
カルロス・ゴーンの経営者として「守銭奴の亡者」となって私腹を肥やしてきた。その状況をメディヤ通してみていると、「悪事を行なうためには頭が悪くては行えない」と言うことである。
HICPMはカルロス・ゴーンの日産のV字回復が軌道に乗った直後の10年程前、ある出版社から依頼されて『カルロス・ゴーンの経営の種明かし』を書いた。その本の作成に当たって、「カルロス・ゴーンの行なったことと違うことは絶対書かないでくれ」と念を押され、既刊の書籍の中でカルロス・ゴーンが直接語ったことを確認して執筆した。そこで確認できたカルロスゴーンは、科学的社会主義者カール・マルクスと共通した理論であるということであった。そこでまとめた内容に関し出版社は「内容は難しすぎる」と言い、若干の修正では出版社の希望通りには修正することはできないと言い、結局その原稿を反故にせざるを得なかった。しかし、私は、そこでの内容はよくできていると思ったので、HICPMで簡易印刷して出版した。結果的には1,000部程度販売できた。その後、別の出版社からその原稿の出版の申し出があり、最初から出版が取り組まれた。ところが、経営者が民主党幹部と親密な関係者であったため、党の幹部との関係でその本はゲラ刷りが終わった段階で出版できなくなった。現在もHICPM刊の出版本は、HICPMで販売している。その本を現時点で読み直してみても、日産がV字回復した経営の方法を解かり易く説明した経営指導書であると考えられる。
カルロス・ゴーンが優れた経営理論家であり、実践者であることと、個人的な支払いまで、その権力を濫用し日産から横領する背任行為に走った卑しい「守銭奴」であることは理解しにくい。しかし、人間という動物は全く矛盾する行動を引き起こすことは歴史上無数に例があり、不思議ではないことが証明済みである。倒産直前の日産の経営を立て直したカルロス・ゴーンは、最近、メディアで多くの首切られた社員の意見が取り上げられ、報道されている。いずれも馘首された社員には落ち度がなかったが、日産がV字型の経営回復した後も、カルロス・ゴーンは自分自身の所得を挙げるために日産につけ回しを行なっても、首を切られた社員を顧みることなかった。希望退職は、退職者に犠牲を負わせたが、馘首による労働者の損失補償をしたわけではない。一方、カルロス・ゴーンによる個人の支出の会社へのつけ回しは、自己中心的な卑しい個人の贅沢という欲望満足のためで、会社に支払いを押し付ける正当性はない。個人支出を日産につけ回しをして、盗人猛々しく正当化している「守銭奴」の行為である。私が現代社会における「ジギルとハイド」の物語をカルロス・ゴーンの生き方の中に感じている。
第4話:カルロスゴーンの日本版:能吏を下僕に使う安倍晋三
以前、HICPMメールマガジンに紹介した自民党代議士で大臣経験者から私が聞かされた「能吏」の説明を思い出したので、改めて今回のメールマガジンで繰りかえしておきたい。2018年12月22日、2019年度の国家予算の政府原案が麻生財務大臣の承認を得、101兆円と決まったことが公表された。「加計・森友問題」は、政治家による国民の税金を安倍晋三にキックバックする仕組みであった事実を指摘された安倍晋三は、その追及を真相究明とは程遠い時間を掛けた「丁寧な説明」で時間を掛け、審議時間を消耗し、遂に国民には真相を説明することなく審議を終了し逃げおおせた。安倍晋三の説明で理解できた人はいない。安倍の陣笠連中だけが「十分な審議時間を使ったことで審議を尽くしたことにした」と言った。この事実を見て私が連想したのは、私の出身である建設省住宅局から総理大臣補佐官にまで昇進した「能吏」と言われている官僚である。彼は国民の税金を合法的に政治家に届けるシステムを作ることで立身出世した官僚で、安倍内閣の支配構造を的確の説明している人はいない。
彼が官僚としてのトップに上り詰めるためには自民党からの強い引きがあったからである。そのためには国民の税金を合法的に政治家に流す流れを、行政権限を使って行ったことである。つまり、補助金制度、金融制度、保険制度を使って、卑しい政治家たちから要求を受ける前に、官僚が先行して企業から政治家への資金の流れを作り、企業を指導して政治献金が行なわれる仕組みを作った。政治家は政治資金規正法と言うマネーロンダリーを使って適法な政治献金にした。税金を適正とされる方法で政治家の懐に不正な資金を政治家に疑惑の掛からないように流すことをした。それを仕組む官僚を能吏と言う。
安倍晋三が総理大臣になって国防費が急膨張し、軍需産業に巨額の税金が流れることになり、その軍需産業は受注額に見合った政治献金を安倍晋三にしている。その成長率は国防費の伸び以上であるといわれている。国民の血税を基にした財政支出を政治が自分の収入にすることは汚職である。
政治資金規正法に適合している献金は違法ではないとされている。しかし、国民の血税を使った軍需産業で利益を挙げること自体納得できないことであるが、その巨額の利益から政治献金をさせ、それを政治家が政治活動に使う説明で税金を着服している。全てカルロス・ゴーンと同じ説明をし、法治国で法律に適合した資金を着服してもクレーム付けられることはない。政治資金規正法に適合している開き直りが許されるか。安倍・麻生のコンビは国民の批判があっても、「政治家が法律違反をしていないければクレームを付けられることはない」と開き直っている。それをもっと悪質なやり方で正当化したのが、「加計・森友事件」の安倍晋三以下の説明であり、それを批判できない御用学者や御用メディアである。国民に「加計・森友事件」の資金の流れを国民の納得のいく説明をしない政治は間違った政治である。
2019年への課題
2018年度から私はHICPMの仕事として、わが国の住宅・建築・都市問題の歪みをわが国の憲法違反の政治、日米安全保障条約と不可分に結びついていることを解明すべき研究を行なってきた。その研究成果をもとに消費者が豊かな住宅・都市環境を享受するために。「私たち国民は、何をすべきか」というテーマを掲げて取り組むことにした。日本国憲法を大切にした国家経営と、日本国憲法で定めた主権在民を蹂躙し、資本主義社会の現在わが国の政治、経済、行政を、如何に日本国憲法の規定に向けて修正していくかを、消費者本位の社会の実現のため検討していきたい。
(NPO法人住宅生産性研究会理事長戸谷英世)