イタリアン・ルネッサンス・リバイバル様式
イタリアン・ ルネッサンス ・ リバイバル様式は、19世紀中半米国に再登場したルネッサンスデザインである。 イタリアン ・ ルネッサンスが16世紀、 イタリアで起こってから、グランドツアーと呼ばれるヨーロッパの指導者達の優れた文化都市旅行により、 全ヨーロッパに伝播し、 それらは各地でバロック建築やロココ建築を生み、 18世紀英国ではジョージアン様式を、 米国を始め英国の植民地諸国ではイングリッシュコロニアル様式として広が っていった。 このルネッサンス様式が、 19世紀初頭ビクトリアン王朝に入り、 非対称形のダイナミックな教会の平面に対応するエレベーションに大転換し、 そこにはゴシック様式とともに栄えた繊細で華やかなデザインが復興し、ピクチャレスク(絵画的な構図と美しさ)のデザインを生み出すことになった。このようなビクトリアン時代の華麗なデザインが社会全体に指導的な役割を果たすようになると、再度シンプルで美しい古代ローマ建築への回帰を求めたデザインが復興することになった。 それがイタリアン ・ ルネッサンス ・ リバイバルである。 19世紀中半に米国で造られたイタリアン ・ルネッサンス・ リバイバルは、 基本的にイタリアン ・ ルネッサンスの原点に戻ろうとしたことから、 ルネッサンス建築について以下に解説をする。
もしルネッサンス建築を1つの建築物の中に集約するとしたら、 1505年に法王ユリウス2世の命により提案、 再建されたローマのサンピエトロ大聖堂になる。 この寺院は16世紀末まで完成せず、 建築家ブラマンテ、ラファエル、 アントニオ・ サンガロ、 ミケランジェロ、 ギアコモデラポルタ等の建築家の手が入った建物である。上図は、 サンガロの設計内容を示すために造られた巨大な模型である。 ルネッサンス建築は、 古代ローマ建築精神を受けついだもので、 イタリアで生まれ、 全ヨーロッパに拡がった。 ルネッサンス様式は、 中世後期、 ゴシック様式に取 って代わるものである。 ルネッサンス様式は決して革命的な形をとって拡大したものではない。
ルネッサンス様式は古典的な様式に立ち返るもので、 それは規則性、 対称性、 均衡のとれた比率によってつくられる建築のルールによるものであり、 中世時代の経験的な建築様式を基本的にくつがえすものである。
ルネッサンス建築は、 中世時代の主要建築である寺院、 宮殿、 フランスのシャトー(邸宅)に応用された他、 新しく荘園領主の邸宅、 別荘や公共建築に採用された。
ルネッサンス様式は、 古代ローマ時代の建築家ヴィトルビウスによってまとめられた「建築十書」について学び、 それをルネッサンス時代として解釈し、 その時代に適合するように再構成されたものである。