アメリカのジョージアン様式
アメリカに建設されたジョージアン様式は、 一般に英国の形がそのまま建設されたため、 空間部分にはポーチや風除室などはみられない。 ジョージアン様式のデザインは、 左右対称(シンメトリー)で、 柱間(ベイ)が奇数でつくられていることが特色である。 この当時は、 ガラスの寸法として6インチXSインチが標準であり、 それを棧木(マンチス)でつないで、 大きなサッシをつくっている。 この棧木(マンチス)と窓の中柱(マリオン)とが間違って混交して使われることがある。 マリオンは元々は構造柱であったものが化粧柱になったものであるのに対し、 マンチスは小さな板ガラスのつなぎ材である。
組石造になって広い開口幅が取りにくくなると、窓一杯の開口部の開放を可能にし、構造的に安定している窓としてダブルハングウィンドウ(上げ下げ窓)、 又は、 シングルハングウィンドウ(上げ窓)が最も一般化した。 この上下に移動する可動窓戸(サッシ)の窓ということでサッシウィンドウともいう。 サッシウィンドウは窓戸を構成するガラス板の数で、 上室戸(6枚)下窓戸(6枚)の窓は、 6X6サッシウィンドウと呼んだ。 日本では窓枠と窓全体をサッシと呼んでいるのは和製英語で、 欧米は窓はウィンドウ、 窓枠はウィンドウフレームで窓の可動部分がサッシである。
ジョージアン様式時代のレンガ造は、 レンガが手造りで精度が低かったので、 レンガ寸法の誤差は、 目地幅で調節したため、 目地寸法が大きくなっている。 当時は目地寸法を如何に狭くするかが優れたデザインとも考えられていた。 屋根の装飾は重視され、 棟にパラペットを乗せたり、 ルーフドーマーウィンドウの意匠に凝ったり、 玄関入口のペディメントにブロークンクンペディメントを採用したり、 バロックのデザインを取り入れるなど様々な工夫が凝らされた。