| 住宅産業に対する疑問に答える | |
| 皆さんが「なぜ」と疑問を持っていることは、すべて「理由」があります。 日本では「その理由」として説明されていることが誤っていて、それが住宅産業の正しい改善を妨げてきました。 「輸入住宅(輸入建材6割以上)」によって、住宅は安く造れるか? 北米は住宅の生産性が高いために安価に造られる 中古住宅は原価償却するから、木造住宅は20年で価値はなくなるか? 持家は償却資産ではない。原価償却と住宅の市場価格は無関係である 中古住宅価格の価格下落は、不動産評価制度がないためか? 中古住宅の市場価格は需要と供給を反映し、評価制度のためではない 日本では住宅の維持管理をしないから、中古住宅価格は値崩れするのか? 5年で半値に値崩れする住宅は、価値のない住宅の高額販売(詐欺)のためである 住宅性能保証制度によって、住宅価格は中古になっても維持されるか? 性能保証制度は、デザイン、機能を全く扱わないもので、需給を反映する価格とは関係しない 住宅の外壁に凹凸や屋根に変化を持たせれば良いデザインができるか? デザインの審美性は均衡と調和であって、複雑化ばかりではない 新材料、新工法を導入すれば、市場での競争に勝てるか? 新材料、新工法は目先の関心をひけても勝てるとは限らない 住宅建設業者の重視すべき業務は住宅の商品企画と営業であるか? 顧客に確実な等価交換を行い、信用を得、評判を高めることである CM(コンストラクションマネジメント)は、設計事務所やコンサルタントが建築主の立場に立って下請業者を手配する技術であるか? CMは合理的な建設計画を立て、それを実践する管理技術である CPM(クリティカルパソメット)はパソコンを使って、現場工程の変化に対応して、工程計画を変化させる技術であるか? ムリ・ムダ・ムラを排して、変更しなくてもよい計画を作成し、実践する技術である チェックリストを使って品質検査をすれば、必ず良い品質の住宅ができるか? 住宅生産システムとして良い品質がつくられなければチェックによっては良くならない フランチャイズに加入すれば、一定の利益を確保する経営ができるか? 各住宅建設者自身が経営体質を改善しなければ、利益は拡大できない ここで取り扱った問題については、「日本の住宅産業体質改善のシナリオ」(住宅生産性研究会刊、価格2,500円)で「なぜ」という質問を「どのようにして」という解決策が示されています。 |
| 秋田住宅欠陥事故は住宅品質確保促進法があればどのように解決されたか | |
| 消費者が事故に気づき、建設行政部局に出向きました 消費者:秋田住宅は欠陥住宅宅です。処分して下さい。 役 人:欠陥住宅宅かどうか役所としては軽々言えません。 住宅品質確保促進法がありますので、この法律に従って問題解決して下さい。 欠陥かどうかはあなたと秋田住宅の間での民事問題です。 「行政の民事不介入」の原則によって行政は民事問題には介入できないのです。 消費者:建築基準法に違反しているかどうかも見てくれないのですか? 役 人:住宅品質確保促進法は建築行政担当の人員が不足しているからという理由でつくられた法律です。建築 基準法もあります。人手不足ですので、とりあえず住宅品質確保促進法が優先し問題を処理することに なります。 消費者:秋田住宅の事故は建築基準法上の確認済証も検査済証も交付され、住宅金融公庫法による融資審査 合格が下り、融資も実施されています。確認事務や公庫の融資事務の手数料は消費者が負担していま す。国家は責任を負わないのですか。負わないのなら手数料を返してくれませんか? 役 人:国家の仕組みは責任を負うことになっていますが、実際は責任を負ったことはありません。手数料を戻せ と言われるならば、国家賠償請求を争ってみてはどうですか。国家が相手ではまず勝てっこないでしょう から。どうせ戻ってこないですけどね。 消費者:法律があっても、国家が勝手な裁量で違反建築を取り締らず、責任を負わないでいて、今回の住宅品質 確保促進法という民事で、悪質業者の責任追及はできますか? 役 人:できるとは思いませんが、できたらよいと説明しています。民事問題は弁護士の皆さんにも頑張ってもらう ことになっています。弁護士もこれは美味しい商売といって集まってきていますので、きっとうまくやってく れるでしょう。 |
| 瑕疵保証保険で消費者保護が図られるか | |
| 請負契約内容は、桧、柾、4寸柱の住宅を、建設業者は契約内容と相違して、杉の大節3寸の柱で建設した住宅を、建築主は「受け取れ」と言われ納得がいかず行政庁にやってきました 消費者:請負契約と相違した手抜き建築の住宅は受け取れません。行政で何とかやってくれませんか? 役人A(建築行政課):それは建築行政の問題ではない。建築業法の問題だから、建設業課へ行ってくれ。 役人B(建設業課):確かに建設業法の問題でもあるが、同時に住宅品質確保促進法の問題であるので、まず、 住宅課に行ってくれ。 役人C(住宅課):住宅行政としては何もできない。住宅品質確保促進法は、行政法ではなく、民事法であるので 民事の住宅紛争として、住宅紛争処理機関で争うことにしている。そこで、処理機関事務所に 行ってくれ。 住宅紛争処理機関事務局:事務局員を現地に派遣させて調査をさせることにしましょう。 処理機関事務局員(現地で):この家で雨漏りはありますか? 消費者:雨漏りはありません。 処理機関事務局員(現地で):柱・梁・根太などの水平垂直の狂いは6/1000未満ですので、住宅品質確保促進 法第87条の瑕疵はないですね。 消費者:この住宅は住宅性能保証機構の瑕疵保証保険に入っていて、保険料を20万円支払っていますが、瑕疵 保証はしてもらえるのでしょうか? 処理機関:先程申し上げた通り、この住宅は住宅品質確保促進法第87条の瑕疵に該当するものはありません。 従って、紛争処理機関では、扱い兼ねますし、住宅性能保証機構の瑕疵保証にも当然該当しませんの で、瑕疵保証保険は一切給付されません。 消費者:民事の瑕疵保証(担保)では契約どおり造られていない工事は、瑕疵であると定めてあります。それに対 して、建設業者には瑕疵担保(保証)責任があると聞いていたのですが、この状況は瑕疵ではないんで すか? 処理機関:うちの機関でそんな事まで扱うとは聞いていませんでしたので、弁護士会か行政にお尋ね下さい。 弁護士会:それは当然民法上の瑕疵です。弁護士事務所にお出かけ下さい。 弁護士:いらっしゃいませ。それは明確な瑕疵です。民事係争として、訴えを起こしましょう。安くして、とりあえず 弁護士料としてこの紛争にかかる費用の半額の30万円を支払って下さい。残金30万円は裁判終了時に 頂きます。現地調査などにかかる費用は別に頂きます。 消費者:必ず勝てるのですかね? 弁護士:確信していますが、裁判の審議の状況によって、結果はどのようになるか分かりません。 消費者:行政は何もやってくれないのですか? 弁護士:建設業法上、係争処理審議会がありますが、行政は人手不足や、行政OBの業界天下りがあって、これ までの審議会ではどうしても業者よりの裁定が多く、かつ、時間がかかってきました。民事訴訟で争った 方が結局はお得ですよ。 |
| コンストラクションマネジメントが重要とされる理由 | |
| ・世の中の輸入住宅政策に例をみるように「できる筈」を売り物にする人達は沢山います。アメリカと「同じ設計図 書」と「同じ建材」とを使って建てた住宅は、アメリカの住宅と同じか、それ以上に立派にできました。違っていた ことは、アメリカの住宅価格(コスト)の2倍以上になったことでした。 ・住宅建設業者の経営目的は、利益をあげることです。アメリカの住宅価格は、『消費者の住宅支払い能力の範 囲で住宅を供給しなければならない』という住宅産業の宿命を理解した上で経営を前提に設定されています。 ・アメリカと比較して、 1.建材購入価格は、取り引き条件が同じならば同じ 2.建材の物流コストは、国内流通コストとほぼ同じ 3.熟練労働者の就労単価が日本はアメリカの半額(ワシントン州カリフォルニアの例) 4.住宅建設業者の利益(1戸当たり)日本は米国の半分以下 1〜4の条件を見る限り、日本の住宅価格の方がアメリカより安くて当然なのに、日本の住宅価格はアメリカの2倍にもなっています。 ・HICPMは全米ホームビルダー協会(NAHB)の住宅建設業経営(CM)のテキストを日本語訳するとともに、現 代日本の住宅建設業の経営管理能力に合わせてどのように学習していったらよいか解説し、セミナーを実施す ることで技術移転を実施しています。 ・HICPMは欧米豪住宅産業先進国において実践され、具体的に成果を確かめられた技術知識についての技術 移転に努めています。多くの日本の住宅産業関係者が欧米豪の住宅産業からの「つまみ食い」や「アイデアの 拝借」といった貧しいやり方を採ってきました。住宅生産性研究会では、「住宅産業はシステム産業」という認識 の下に、1995全米ホームビルダー協会と住宅生産性研究会(HICPM)との間で相互協定を締結して、総合的 に技術移転に取り組んでおります。 ・アメリカと日本の住宅価格の違いの原因は、住宅建設業者の建設業経営管理(コンストラクションマネジメント) 能力の違いだったのです。日本でもアメリカの社会の中でアメリカのコンストラクションマネジメントの能力を生か して住宅建設をすれば、アメリカと同じ価格で住宅が造れます。 ・HICPMは、かつて日本生産性本部が自動車や電化製品のような輸出製品のための工場生産技術として、OM (オペレーションマネジメント生産工学)を日本に技術移転してきたことを、住宅産業において実施しているのです 。OMに相互する建設業の経営管理技術がCM(コンストラクションマネジメント)です。 ・アメリカでは131もの大学系の教育機関でCM学部が設けられ、phD(博士)課程まである確立した学問体系が できています。全米ホームビルダー協会(NAHB)は800余りの支部組織を使ってホームビルダー(住宅建設業 者)に建設業経営(CM)技術を教育訓練しています。 ・HICPMは日本が現在のアメリカの住宅建設業経営管理技術の水準に到達するためには、(同じ設計図書を使 った住宅をアメリカと同じ価格で販売して、同様の利益をあげるようになる)これから50年程度の努力を続けなけ ればならないと考えています。 ・現代のアメリカの住宅建設業経営管理技術は、そのまま日本に使える状況にはありません。そのためHICPM は、現代の日本の社会的経済的環境にあるような条件の置き換え、読み替えをすることで、的確な技術移転を しようと努めています。 |